土井 哲  Satoshi Doi
株式会社インヴィニオ 代表取締役 エデューサー



東京大学経済学部卒業後、東京銀行(現東京三菱銀行)に入行。在職中にM.I.T.(マサチューセッツ工科大学) スローン経営大学院卒業。92年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。主に通信業界、ソフトウェア業界のコンサルティング、情報システム構築のコンサルティングに従事。同社を退社後、95年ベンチャー企業支援のコンサルティング会社の設立に参加。97年7月、インテリジェンスビジネスプロフェッショナルスクール運営会社、株式会社プロアクティア(現株式会社インヴィニオ(http://www.invenio.jp/))設立に伴い、代表取締役社長に就任。経営者養成の研修の企画のほか、企業の実際の課題をとりあげた戦略研修などを担当。

前回掲載致しましたパート1では、命題を論理的に分解する作業のポイントについて具体的な事例を元に解説しました。今回は、引き続き同じ事例を用いて、検討すべき論点は何であるかを明らかにしていくステップを詳しく解説していきます。是非皆さんもご自身の業務に適用してみてください。
 
社内で改善提案や変革の提言を行う、あるいは新規事業を提案するようなときに、自分の主張内容を論理的に組み立てる方法論として、イシュー・アナリシスと呼ばれる方法があります。「あなたは●●すべきである」という命題を、論理的に分解する作業を通じて、その命題にYesかNoかの判断を下すとすれば、何を検討したらよいのか、「論点=イシュー」を明らかにする道具です。筆者はかつてコンサルティング会社で働いていた時に、その方法論に出会い、主張を納得してもらうために、根拠を漏れなく揃える上で、非常に役に立つ手法であると感じているのですが、この手法をきちんと解説したビジネス本はなかなか見当たりません。そこで今回は、戦略仮説のイシュー・アナリシスのやり方を解説しながら、筆者の持つノウハウを読者の皆さまにお伝えしていきたいと思います。
 
インヴィニオ代表土井より2011年にインヴィニオが取り組む人材育成、組織開発の方向性について、その意義と具体的な内容についてご紹介いたします。筆者は近年徐々に人材開発・組織開発事業の需要が回復してきたように感じています。しかしながらそれは、景気が上向いてきたからというよりは、どちらかというと、急速にグローバル化する環境に対応するために取り組まざるを得なくなっているお客様の事情が背景にあるようです。なぜなら、3年前と比較するとご依頼内容が様変わりしているからです。所謂グローバル案件の比率が急速に高まり、またその内容は多岐に渡っています。そのような課題には人材開発と組織開発の両面から取り組まねばならないのが現在の状況ではないかと筆者は考えています。
 
筆者がファシリテーションを行っている経営シミュレーションですが、今回はサービス業のROAを高めるヒントについて考えていきます。代表的な経営シミュレーションであるDecision Baseは製造業をモデルに作られていますが、筆者によればサービス業に携わる人にとっても非常に重要な示唆が得られるものになっています。典型的なサービス業であるコンサルティング業を例にとりあげて考えてみましょう。売上高利益率の観点と資産回転率の観点から考えると、製造業もサービス業も事業である以上、基本構造は全く同じだと筆者は言います。ROAを高めようと思えばいかに原価以上の価格で製品やサービスを販売するか、ということと、資産をどれだけ回転させるかということにつきるからです。
 
筆者は最近経営シミュレーションのファシリテーションを行うようになり、今後の日本企業の戦略を考える上で重要な気付きがいくつかありました。今回から数回に亘って、その気付きをみなさんと共有していきたいと思います。今回は、マイケル・ポーターの提唱する差異化戦略について考えてみましょう。 近年国内市場が成熟化する中で、競合企業との差異化を図るため、「画期的な新製品を出すには」「斬新な製品を発想できる研究開発者のコンピテンシーはどのようなものか」「そのために人材をどのように育成・採用すべきか」…等々の検討を行っている企業も多いのではないでしょうか。ところが、経営シミュレーションでは商品の差異化戦略をとることはできません。しかしながら、企業間の業績には大きな差が生まれるのです。それはなぜなのでしょうか。筆者はそこに今後の日本企業の戦略を考えるにあたって重要な示唆があると考えています。