Leadership Insights / エデューサーの視点
中国では通常、リーダーシップのことを「領導力(リンダオリー)」と訳します。しかし、この言葉が指すものは「リーダーシップ」よりも意味の範囲が狭く、そのことが中国現地法人のリーダーシップ開発にとって足かせになっているかもしれないと筆者は考えており、「領導力」を補うリーダーシップの訳語として「主導力(ジューダオリー)」という造語を使っています。今回は、2つの言葉を使うことになった経緯のお話を通じて、中国でのリーダーシップ開発の現状と課題をお伝えしたいと思います。
 
前号コラム「マインドセットは変えられるか?(上)」を配信した直後、多くの方からコメントを頂きました。筆者は、日本企業において、社員のFM化阻止&GM化促進が喫緊の課題であることを改めて強く認識したと言います。さて、今回のコラムでは、ドゥエック教授から送られてきた研究論文についてご紹介し、考察を進めます。ドゥエック教授の理論を企業研修に応用し、成果を上げたというその論文ですが、マネジャーが部下の人事考課や指導・教育などを行う際に、何らかの介入によりFMマネジャーのマインドセットを変えられないかということを検証しました。その結果、FMマネジャーであっても、マインドセットがGM側に近寄った状態を維持するようになったという成果が示されました。このような研究をベースにすれば、筆者は実践的なマインドセット変革プログラムを開発できる可能性が十分にあると感じています。
 
人材育成という仕事に関わっている人間にとって常に突きつけられるテーマは「果たして人のマインドセットは変えられるのか?」という問題ではないでしょうか。筆者ももちろんその中の一人であり、重要なテーマとして日々取り組んでいます。そんな悩める教育関係者たちに希望の光となる研究に取り組む学者がいらっしゃることが分かりました。現在スタンフォード大学の心理学部教授を務めるキャロル・S・ドゥエック博士です。この方は20年以上に亘り、人間のマインドセットの研究に取り組んできました。その研究成果を一般人にも分かりやすく解説した書籍がアメリカで出版され、大きな反響を呼びました。この書籍によると、子供を対象にした場合、マインドセットは知的成長に大きく関わっており、また、接し方でマインドセットを変えることが出来るということがわかってきているそうです。この研究結果を知った筆者は、成人教育にもこの理論が適用可能なのだろうか?という疑問を抱きます。
 
東日本大震災とその後に発生した原発事故から始まった東日本の電力不足は、その後、日本全体の問題に発展しています。皆さんのオフィスでも節電が迫られ、色々と大変なことも多々おありなのではないでしょうか。企業研修の現場でも、影響はけして小さくありません。しかしながら筆者は、今回の電力不足がきっかけとなり、日本経済が20年間苦しんできたデフレを脱却する好機になるのではないかと言います。デフレは、有効需要に対する生産体制の供給過剰が原因と考えられ、製造業については特に今回の震災と電力不足がきっかけで収益性の低い事業の見直しをする機会となりうるということ、そして、夏季休暇の分散化、長期化が進むことで内需の拡大につながる可能性があると筆者は考えています。
 
最近、筆者が非常にパフォーマンスに関係すると実感しているのが“機嫌”です。内田樹さんによれば、「危機的局面」において人間は上機嫌になるものだそうで、それは精神論的な教訓ではなく、追い詰められた生物が生き延びるための戦略であるそうです。筆者の経験している様々な局面でも、人が上機嫌になるシーンというのは、必ずしも取り組みが順調に進んでいるとは限らない時であり、むしろ一生懸命やっているときに思いっきりダメだしをされたときなのです。ビジネスの現場では“機嫌”よりもモチベーション、やる気という言葉のほうがよく使われますが、今後は“機嫌”に関しても個人、組織全体のパフォーマンスを促進するためのアプローチになりうると筆者は考えています。